『不可能、不確定、不完全』(ジェイムズ・D・スタイン)-0036


数学と物理学がテーマのお話だが、小難しい数式はあまり登場しない。出版業界のあのまことしやかな<法則>から考えても、この本の売り上げは安泰、というわけだ。

本書では「ハイゼンベルクの不確定性原理」「ゲーデルの不完全性定理」「アローの不可能性定理」の3つが扱われている。心配は必要ない。数式の出現密度が低いだけでなく、身近な話を用いて、わかりやすく解説されている。

実生活にどれだけ役立つのかと言われれば、残念そうに首を横に振らざるを得ない話なのだが、実に魅力的なお話が繰り広げられている。この世界がどのようにできているのか。その理解こそが、教養へ至る道なのかもしれない。