[MM]demi - another - -0019

demi - another -
犬子 蓮木
もふもふ出版 (2014-10-28)

@sleeping_husky さんのセルフパブリッシング本。

『demi - spring and autumn -』『demi - winter and summer -』という本の続編にあたるらしいが、特にそれらは読まずに挑戦。問題なく読めた。

独特の透明感がある作品だ。透明感というか、欠落によるイノセントと言うべきかもしれない。ある種の濁りが抜け落ちた存在。そして、奇妙なほど静かにそれを受け入れている。物語自体も、それに呼応するように静かに幕が引かれる。

犬子さんの作品は、いくつか読んだことがあるが、どの作品からも「欠落」が感じられる。それは単純な喪失とは少し違う。ようするに欠落というのは、持てる物から見たときにそう感じるだけであって、当人からすればそれが当たり前なのだ。しかし、その違った「当たり前」が交錯するときに、何かが生まれる。生まれてしまう。

ちょっと気になったので、『demi - spring and autumn -』も読んでみることにしよう。