『ネット・バカ』(ニコラス・G・カー)-0044


カーの新刊が発売されたとのことなので、「前作」の紹介でも。

新刊の「オートメーション・バカ」も相当なタイトルだが、本書もいささかやり過ぎである。もちろん、インパクトはあるのだが、前印象で誤解を与えそうだ。

内容は至って真面目な話です。ゲーム脳とか、そういう話とは違う。

たとえばロンドンのタクシーの運転手の脳は別の職業の人の脳に比べて、「地図」に関する部分が発達していると言う(発達は言い過ぎかもしれないが)。考えてみれば、当たり前のことだ。筋肉だって鍛えれば、強くなる。脳細胞だって、特定の方向でインプットとアウトプットを繰り返していけば、ニューロンネットワークはその方向に強化されるだろう。

そして、インターネット前とインターネット後の私たちの情報摂取のスタイルは変わりつつある。インプットとアウトプットの方向性が徐々にシフトしてきてるのだ。当然、脳もシフトしていくだろう。

その功罪は横に置くとしても、そうした変化が起こりうるということについては自覚的になる必要があるだろう。

ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること
ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること