『ポモドーロテクニック入門』(Staffan Nöteberg)-0053
優れたタスク管理システムについての本。
いや、タスク管理システムについての優れた本、と言うべきだろうか。このシステムが優れているかどうかは、あなた自身の性格や習慣や置かれている環境に依るから断言はしにくい。
ただし、本書がくだらない精神論を目立つ実績で彩ったエセ仕事術本ではない、ということだけは保証できる。心理、つまり人の心の働きをきちんと視野に入れた方法論となっている。
だいたいにして心理に関する深い洞察無しに、「自分のトリセツ」など書きようがないではないか。
タイマーを使った仕事の進め方そのものはありふれてはいるが、ポモドーロテクニックは、きちんとしたシステムとなっている。フローを回すように設計されているのだ。システム自身のカイゼンが組み込まれていると言っても良い。
そうした要素がないと、「最初の一週間はうまくいったのだけれども……」みたいな結果が訪れて、また別の本を買わなくてはいけなくなる。堂々巡りの消費ビジネスだ。
使うツールは最低限、あとはコツコツと実施とカイゼンを繰り返して、自分の「システム」を作る。それ以外の「近道」はすべて袋小路と考えた方が良いだろう。本書は、そういう袋小路にはまり込まないための、役に立つ地図となってくれるはずだ。
ともかく、「自分」のことを見過ごしてはいけない。そのためには、記録が必要なのだ。