『情報の家政学』(梅棹忠夫)-0039


大切なことがいくつか書いてある。

一つは、家庭の中の情報について。情報化社会では、情報は象牙の塔の中だけにあるわけではない。ビジネスの現場、そして私たちの生活の中にも広がっていく。

個人が情報を持つのならば、個人の集合体(共同体)である家庭も情報を持つ。それをどう扱うのか、というのはある意味で家庭科の需要で扱われてもよいのかもしれない。あるいは、情報という科目の中に、そうした項目を設定するのか。

もう一つ、こんなことが書いてある。

「人間の根本的な生きがいと関連して、物質や機能だけではぐあいがわるいと人びとがしだいに気づいてきた」

1970年の文章である。結局、本当にこれが意識されたのは2000年以降、あるいはもっと最近になるのかもしれない。

逆に言えば、それだけ「ものづくり」の社会が強く残存していたのだろう。しかし、ものから情報のシフトは止められない。

その他、『知的生産の技術』を面白いと思った人ならば楽しめる話が多い。