『ロボットの時代』(アイザック・アシモフ)-0038


アシモフの短編集。<ロボット法三原則>が頻繁に登場している。

八つの短編が収められているが、印象的なのは「校正」という最後に収められた一編であろう。

なんと、論文の校正をしてくれるロボットが登場する。著者は、ちまちまと誤字を探さなくても良くなるのだ。しかし、……。

本編で展開されるお話は、現代の物書きにとって、いや未来の物書きにとって切実な問題を含んでいる。後半にある、アンチロボット派のニンハイマー博士の叫びは、いっそ滑稽ですらあるが、すでに現実的な問題として私たちの前に広がっている。

「書物というものは著者の手で造型されるべきものだ」

その悲痛な叫びと、ロボットと人間が握手している表紙の対比が、本書の印象をより深いものに変えている。